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創作は自分を守る壁


必要なことは、得た自信を「やっぱりダメだ」と手放さないこと。

自分ができないことを軽々と当たり前のようにこなす人を見ると、勝手に卑屈になって劣等感に苛まれる。思考の歪み。同時に「自分はこのままでいいじゃん。無理したってしょうがない」という自分もいて、時間が経つと後者の思考が強くなる。その繰り返し。
気分転換と称してほかのことをやっても常にもやもやがついてまわる。ストレス発散というものがうまくできない。

イラコンに参加して賞をとりたいというのも、この劣等感からきている。

去年の夏頃、自分のやってることは何の役にも立たない価値のないものだと落ち込んでいる時があった。

今までは賞をとりたい、選ばれたいなんてあまり思わなかったけれど、賞があれば“自分以外”の誰かが認めてくれたという証になる。社会的に認められれば、自分のしていることを素直に肯定できて、もっと胸を張って堂々と「絵を描いている」と言えるんじゃないかと思った。

認めてほしい手段としての───絵

実際に参加してみると、現実はそんなに甘くはないし、今の実力だと途方もない年数がかかるとわかった。本当は賞なんかどうでもよくて「誰かから選ばれる」ということが大事だった。選ばれれば、認めてもらえれば、自分の中で創作が揺らぎないものになれば…劣等感も薄まるかもしれない…。

常に自分を否定する生き物が頭の中に住んでいて、不安や劣等感が湧くとそいつが元気もりもりになって活動しまくる。でもそいつは自分の絵だけは「いいじゃん」と見てくる。絵だけは唯一自分を肯定できるものなんだ。

創作は自分の防御壁。この壁を守るためにもっと強固な素材が必要で、強固な素材というと…自信…?

いつも「自信ってどうやったら手に入るんだろう」と考えていた。自信を得るというと天から落ちてくるのを待つ…みたいなニュアンスになるけれど、それはきっかけでしかなくて、得たあと「持ち続ける」のが大事なんじゃないか。「自信なんか持っちゃいけない、自惚れてはいけない」みたいな責めたくなる気持ちが湧いてきて、手放しそうになってしまうけれど、自信を得るきっかけがあったのなら、握りしめ続ける。

自分を信じて、良いと思う作品を作り続けて、そして必ず外に出す。
その中で偶然「自信のきっかけになる」ものがあれば手放さない。
そうして磐石な壁を築けたら、創作が自分の中で揺らぎないものになって些細な劣等感にも負けないで過ごせるかもしれない。
“認めてほしい”じゃなくて“守るため”の創作をする。

23.01.29

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